将来のアレルギーを予防するのは、赤ちゃんの時のスキンケア!

“赤ちゃん肌”と言えば、女性が憧れる美肌の代名詞。すべすべ・プルプルで、大人の私たちから見ると理想的な状態に思えますが、実際の赤ちゃんの肌はまだまだ未熟で、想像以上にデリケート。カサカサ肌荒れしたり、真っ赤にかぶれたり、すぐにトラブルを起こしがちです。と言ってしまうと、ある程度の肌トラブルは仕方がないようにも思えますが、そう軽くは見過ごせない、気になる事実が判明。
乳幼児期の肌トラブルが長く続くほど、将来アレルギー疾患を発症しやすいというのです。
今回はその研究結果をご説明しながら、実際に何をどうすればいいのか、赤ちゃんや小さな子どもだけでなく、大人になっても役立つ具体的な対策をご紹介します。
乳児期の湿疹がアレルギーの引き金?!
ロート製薬は、近年その人数の増加と低年齢化が問題となっている「子どもの花粉症」について、2013年に調査を実施しました
*。
まず、生まれてから1歳になるまでの期間に、湿疹が長く続いたことがあるか聞いてみると、約3割もの子どもが、1歳までに1ヶ月以上続く湿疹を経験していることがわかりました。(下記グラフ内の[全体]結果より)
次に、現在どのようなアレルギー症状があるか、代表的な症状(花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、その他のアレルギー症状)を挙げて聞いてみました。
すると、どの症状についても、1歳までに皮膚湿疹があった人のほうが発症率が高いという結果に。中でも、2ヶ月以上続いたことのある人はより顕著で、湿疹がほとんどなかった人に比べて、花粉症発症率は1.5倍以上、アトピー性皮膚炎発症率は約8倍も高かったのです。 この結果から、乳児期に皮膚疾患が長く続いたことがある子どもほど、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を発症しやすいということがわかりました。
*「こどもの花粉症」調査 2013年11〜12月実施 0〜16歳までの子ども n=3,475(父母2,082人対象)ロート調べ
近年では、『アレルギーマーチ
※1は皮膚から始まる』と言われており、「肌のかぶれから食物アレルギーが始まる可能性がある」、「アレルギーマーチは乳児期のアトピー性皮膚炎から始まる」という報告も増えているそうです。
将来、なるべくアレルギー症状を発症させないためには、乳児期の肌をできるだけ健康に保ち、湿疹は長引かせないことが、とても大切なのです。
※1 アトピー性皮膚炎から始まり、食物アレルギーや喘息、花粉症などといったアレルギー症状を、まるで行進するように次々と発症していくこと。
赤ちゃんの肌は薄く、皮脂分泌も少なくて汗っかき
見た目はとてもきれいな赤ちゃんの肌ですが、実際はまだまだ成長途中のか弱い状態。角層は大人の半分程度しかないと言われています。その上、皮脂分泌も十分ではないためバリア機能が弱いので、うるおいが逃げやすく、乾燥しやすいのが特徴です。
乾燥していると、もともと弱いバリア機能がさらに低下。刺激を受けて炎症や湿疹を発症すると、かゆくてかきむしることでいっそうバリア機能が乱れ、ますますアレルゲン
※2やそのほかの刺激物が入りやすい状態に。こうなると負の連鎖が続いてしまいます。まずは乾燥させないことが、肌を守る第一歩。一日でも早くお手入れを始めるのが正解です
※2 アレルギーの原因となる抗原性物質のこと
乾燥しやすい反面、汗をかきやすいのも赤ちゃんの特徴。汗を分泌する汗腺の数は、基本的に生まれた時から大人になるまで変わらないと言われています。これは言い換えると、あんな小さな赤ちゃんの体に、大人と同じ数の汗腺があるということ。そのため、単位面積あたりの汗の量は大人の約2~3倍になることも! あせもや湿疹ができやすい理由はこんなところにもあるのです。かといって、汗を拭く時に、湿った状態の肌を乾いたタオルでこすったり、何度も洗い過ぎると、バリア機能を低下させてしまうので要注意。濡れタオルでこまめに拭いたり、シャワーでさっと流してあげましょう。
うるおいを守ることが、赤ちゃんや小さな子どもの肌を守ること。
基本は手の平洗い
赤ちゃんや小さな子どものスキンケアの基本は洗浄と保湿。中でも、うるおいを失いやすい洗浄方法を見直すことから始めましょう。
まず気を付けたいのが、洗い方。洗い方ひとつで、肌のうるおいは変わります。実際に手で洗った時と、タオルを使って洗った時の肌の水分量を調べたところ、タオル洗い後は水分を失い、手洗い後は水分をキープしていたのです。大切な肌の水分を守るために、ゴシゴシこすらず、ぜひ手でやさしく洗ってあげてください。基本的には、顔と体は同じお手入れで大丈夫です。
原液をそのままつけずに泡立ててから!
もちろん洗浄剤選びも大切な問題。しっかり洗って清潔にしてあげたい気持ちはわかりますが、洗浄力が強すぎる洗浄剤は、うるおいも流しがちなので、マイルドなものを選びたいところ。高濃度のままつけると、肌に刺激を与えたり、肌に残ってトラブルの原因になる場合も。「水を加えてよく泡立ててから」使うのが基本です。泡立てるのが面倒な方や、きちんと泡立てられるか心配な方は、最初から泡で出てくる洗浄剤がおすすめ。泡と手でやさしく洗って、すすぎ残しがないよう、ぬるま湯でしっかり流しましょう。
洗った後は必ず保湿
洗浄後はどうしてもバリア機能が低下しがちですが、保湿剤をしっかり塗ることで防ぐことができます。さらに、洗浄後に保湿剤を塗る習慣を続けることで、塗った直後だけでなく、日中も肌の水分量が増え、バリア機能が高まることがわかっています※3。肌トラブルを防ぎ、健康な肌を保つためにも、洗った後はなるべく早く、しっかりと保湿してあげたいですね。また、日中は洋服などでこすれて保湿剤が取れてしまうこともあるので、1日2~3回こまめに塗り直すとより効果的です。
※3 洗浄+保湿を4週間持続した時のすねの角質水分量の変化とバリア機能の指標として系表皮水分蒸散量の変化を調べた。(ロート調べ n=10)
赤ちゃんや小さな子どもは、不快な症状を上手く伝えることができません。異変を感じたらすぐにケアしてあげたいからこそ、保護者による日々の肌状態の観察が重要です。そのためにも、やさしい洗浄とこまめな保湿で毎日しっかりお手入れを続けてくださいね。