洗顔のやり過ぎは逆効果! ニキビケアの意外な真実

ニキビケアを考えるとき、「洗顔」はとても重要です。しかし、だからといって「洗い過ぎ」はとても危険。ケアをしているつもりでも、かえってお肌を傷めつけてしまう可能性があるからです。では、理想的なニキビケアとはいったいどのようなものなのでしょうか?
私が解説します!
アオハルクリニック 小柳衣吏子院長
洗い過ぎると乾燥したカサカサ肌になってしまうかも…
皮脂がたくさん出てニキビになってしまうのだから、サッパリと皮脂を洗い落とさなければ。そんなふうに考えて、1日に2〜3回、洗顔料でゴシゴシと洗ってしまっていませんか?
じつはそれ、カサカサ肌の原因になってしまうケア方法です。ご存知の通り、お肌にとっては「保湿」もとても重要です。「洗い過ぎ」は、お肌を乾燥させてしまう恐れがあるのです。
大人のニキビ肌は乾燥リスクが高い!!
20代半ば以降は皮脂量が低下する。
(データ:J. Soc. Cosmet. Chem. Japan; 23(1), 1989)
大人ニキビ(成人ざ瘡)体質の方の多くは、脂漏性皮膚炎も併発しているといわれています。脂漏性皮膚炎とは、肌のバリアが壊れて過敏な状態のこと。そのため、できるだけ刺激をしないスキンケアが必要となります。ところが、皮脂をサッパリ取り除く基礎化粧品は、一般的に10代から20代前半の「皮脂分泌が過剰な肌」に合わせて開発されており、20代半ば以降の大人のお肌には合わないこともしばしばあります。ニキビケアのための化粧品を買う際には、しっかりと「保湿」もしてくれるものを選ぶようにしましょう。
マスクなどを使っての「隠し過ぎ」にも要注意!
ニキビができてしまったとき、ファンデーションやコンシーラーを厚く塗ったり、マスクをつけたり、髪で額を覆ったりして、ニキビを隠していませんか?他人に見られたくないという気持ちも分かりますが、この行為はニキビを悪化させる原因といえます。
そもそもニキビとは、詰まった毛穴が菌で炎症を起こしている状態のこと。毛穴の入り口の角化異常と、皮脂の過剰分泌によって毛穴が詰まり、「嫌気性(空気の通りがよい環境を嫌う)」のアクネ菌(ニキビの原因菌)が活発になっているのです。これをコンシーラーなどで覆うと、皮脂はますます詰まってしまいます。
また、マスクをつければ湿気もこもり、マスクで皮膚を摩擦してしまいます。ニキビを治すには、なによりも皮脂詰まりを解消することが大切です。そのためには、皮膚の代謝を良くしなければいけません。ニキビができてしまったなら、いさぎよく「隠さないこと」。そのほうが、じつは早く治ってくれるんです。
参考書籍紹介
『美肌の王道』 (日経BP社・2016年12月刊)
美容皮膚科医として多くの女性の悩みを診てきた「アオハルクリニック」の院長・小柳衣吏子さんの著書。最新の知見ももとに洗顔、保湿といった基本的な美容習慣に潜む「間違い」を修正し、「ウェルエイジング」のための正しい方法を紹介。いつまでも前向きで、キレイでいたい人の必読書です。
著者紹介
アオハルクリニック院長
小柳衣吏子 (こやなぎ・えりこ)
アオハルクリニック院長。皮膚科専門医。順天堂大学医学部卒業後、都内の美容皮膚科で経験を積み、平成23年、アオハルクリニックの院長に就任、現在に至る。“ウェルエイジング”をスローガンに、多くの人にとって、よりよい治療を日々模索する美容皮膚科のスペシャリスト。
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