ちゃんと「夜シャン」してますか? キレイな髪は夜につくられる!

「夜はドライヤーをかけたくない」「朝にシャンプーするほうが髪をまとめやすい」。そんな理由から、「夜シャン」をサボってしまっていませんか? しかし、夜にしっかりと洗わないと、美髪の大敵である「過酸化脂質」を大量に発生させてしまいます。「過酸化脂質」とは、頭皮から分泌される皮脂が酸化したものです。これがなぜ悪者なのか、毛髪が育つ仕組みからお教えしていきましょう。
私が解説します!
アオハルクリニック 小柳衣吏子院長
まずは髪の毛が育つ仕組みについてレクチャー!
髪の毛は、毛穴の奥にある毛包という組織から発毛し、成長し、抜け落ち、また発毛するというサイクルを繰り返します。これを「毛周期(ヘアサイクル)」と呼びます。
若いうちは成長期が長く、しっかりと太い毛が育つのですが、加齢にともなって成長期が短くなり、退行期に移るペースが早くなっていきます。髪が年齢とともに細く、少なくなるのは、このためです。十分に育たないまま髪が抜け落ちるから、髪全体のボリュームが低下し、またツヤも減少します。
皮脂を適度に洗い落としてヘアサイクルを長く保とう!
ヘアサイクルを長く保つためには、毛包の環境を清潔に保ち、「過酸化脂質」をためないようにすることが大切です。「過酸化脂質」は、毛包のアポトーシス(細胞の自滅)を促し、成長期から退行期への移行を早めてしまうためです。また、毛穴まわりの細胞に「過酸化脂質」が多いと、ターンオーバーが上手くいかず、炎症が起き、毛穴が開くことがわかっています。
「過酸化脂質」は皮脂が長く肌に留まることで生じるため、「夜シャン」で適度に皮脂を洗い流すことがとても重要といえます。
「夜シャン」をサボると炎症やにおいの原因になる!?
髪を洗わないまま寝ると、頭皮の常在菌がとてもよろこびます。頭皮の汗と脂がそのまま放置されるだけでなく、暖かい枕に包まれるという最高の環境を与えてしまうからです。この環境下では菌たちは過剰に増殖し、朝までにはすっかり炎症やニオイの原因に育ってしまいます。
丁寧に頭皮を洗うと、抜け毛が減って健康な髪が育ちやすくなるという研究もありますので、毎日シャンプーで頭皮を清潔にし、きちんと乾かしてからベッドに入る「夜シャン習慣」を心がけてください!
参考書籍紹介
『美肌の王道』 (日経BP社・2016年12月刊)
美容皮膚科医として多くの女性の悩みを診てきた「アオハルクリニック」の院長・小柳衣吏子さんの著書。最新の知見ももとに洗顔、保湿といった基本的な美容習慣に潜む「間違い」を修正し、「ウェルエイジング」のための正しい方法を紹介。いつまでも前向きで、キレイでいたい人の必読書です。
著者紹介
アオハルクリニック院長
小柳衣吏子 (こやなぎ・えりこ)
アオハルクリニック院長。皮膚科専門医。順天堂大学医学部卒業後、都内の美容皮膚科で経験を積み、平成23年、アオハルクリニックの院長に就任、現在に至る。“ウェルエイジング”をスローガンに、多くの人にとって、よりよい治療を日々模索する美容皮膚科のスペシャリスト。
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