このページの先頭です
ここから本文です

ゼロから学ぶ更年期の基礎知識〜第1弾〜 つらいのは更年期のせい?不調を感じる時の正しい向き合い方

症状はさまざまですが、すべての女性に訪れる“更年期”。ライフステージの大きな転換期でもあり、身体に大きな変化が訪れます。「突然汗が止まらなくなる」、「訳もなくイライラする」なんて話を聞くと不安になりますが、正しく知ることで向き合い方が変わってくるはず。
そこで、更年期医療の第一人者である後山尚久先生に、更年期とは何か、どんなことが起こり、どう対処すべきかなど、正しい知識を3回にわたって教わります。更年期を乗り切るためのヒントがいっぱいなので、ぜひ参考にしてください。

第1弾は[更年期の症状]についての基礎知識です。
更年期の女性は不調を感じがち。その不調は特徴的な症状から、更年期と気づかないほど日常的なことまで、実にさまざまですが、多少つらいと感じても、「更年期のせいだから仕方ない」、「更年期が落ち着けば治るはず」と我慢してしまう人も多いようです。でも、放置することで、症状が悪化したり、別の病気が進行している可能性も。そんなことにならないよう、まずは更年期に起こる症状を正しく知ることから始めましょう。

関連記事
・ゼロから学ぶ更年期の基礎知識〜第2弾〜 更年期の症状はどうして起こるの?不調を起こす3大要因
・ゼロから学ぶ更年期の基礎知識~第3弾~ ガマンしなくて大丈夫!更年期を乗り切るための治療と対策

後山尚久 先生

教えてくださったのは、

大阪医科薬科大学 健康科学クリニック 名誉所長
後山尚久 先生

大阪医科大学卒業。大阪医科大学産婦人科助教授、藍野学院短期大学教授、大阪医科大学健康科学クリニック教授などを経て、2020年より現職。漢方医学をベースに、女性のさまざまな悩みに応える。著書に『更年期 からだと心の変化で悩む人に』(NHK 出版)などがある。

更年期の症状は身体や心の弱いところに現れる!?

更年期に現れる症状は実に幅広く、全身におよびます。病院の診療科に当てはめると脳外科から内科(循環器内科や神経内科ほか)、耳鼻科、整形外科、精神科など多種多様ですが、大きく分類すると、身体症状と精神症状の2つに分けられます。

身体の症状は、自律神経のバランスが崩れることで起こる症状がほとんどです。患者さんの訴えで多いのは倦怠感やめまい、不眠、耳鳴り、動悸など。また、体温調節が上手くできなくなるので、頭部が熱くなり、手先・足先の末端との温度差が大きくなる冷えのぼせや、暑くもないのに汗が噴き出て止まらないホットフラッシュもよくあります。さらに、肩こりや頭痛がひどくなる場合も。
精神的な症状では、不安感とうつ症状を訴える人がとても多いです。更年期というと、イライラして攻撃的になるイメージがあるかもしれませんが、実際はそういうケースは少数。どちらかというと焦燥感のような、気持ちが落ち着かずにイライラする人のほうが多いようです。また、今まで楽しかったことが急に楽しくなくなったり、外出が億劫になるという人も多く、更年期の症状がある3人に1人は気力低下がみられます。

身体も心も、更年期の症状はその人のもともと弱いところに現れやすい特徴があります。特に精神的な症状は本来の性格が影響しやすく、悲観的な人や悩み事を1人で抱え込むような人は、症状が重くなりがちです。思い当たる人は、普段からストレスを溜めないように心掛けて、気持ちをおおらかに持つようにするのがいいかもしれませんね。

重い人から気づかない人まで。症状の数や程度は人それぞれ

更年期の症状は、1つの症状が強く現れる場合もあれば、いくつもの症状に悩む人もいたりと、その出方はさまざまです。平均すると、1人の患者さんが訴えられる症状は5~6つぐらいでしょうか。初めは1つの症状に悩んで相談に来られても、「他に、こんな症状はありますか?」と聞くと、たいてい「あります」と答えられることが多いです。

また、人によって症状の程度の差も大きく、生活に支障が出るほど重い人もいれば、日常的に肩こりのある人が、「なんだか最近こりがひどくなっているかも」という程度の場合も。実は、更年期の症状の出方は、閉経の仕方によっておおよそのパターンが決まっているようです。急激に閉経を迎える人はホットフラッシュが出ることが多く、逆に緩やかに閉経に向かう人は、ホットフラッシュはあまり気にならず、なんとなく眠れない、少し心臓がドキドキする、疲れやすくなった気がするといったような症状がメインになることがあります。
とはいえ、どんな症状が出るかは、その年齢になってみないと分かりません。健康的な生活を送っていても軽く済むとは限りませんし、母親は更年期がつらかったけれど娘は楽というケースもあります。その人が持って生まれたホルモン周期のパターン次第なので、どうにもコントロールできないのが更年期の難しいところです。

更年期の特徴的な不調は、更年期が原因とは限らない

ここまでご紹介したのは更年期によく現れる症状ですが、更年期特有の症状というわけではありません。例えば、更年期の象徴のように思われがちなホットフラッシュは、自律神経失調が原因の血管運動神経障害様症状で、更年期に限らず若い人やお年寄りにも起こりますし、心臓がドキドキするのは甲状腺の病気の可能性も考えられます。更年期のせいだと思い込んで、「一時的なものだから、そのうち治まるだろう」と放置している間に進行してしまうこともあるのです。その症状が更年期によるものかどうかは、正確には検査しないと分かりませんが、一つの目安となるのは月経です。

そもそも“更年期”とは、閉経の前後5年の期間のこと。50歳で閉経を迎える場合、45~55歳が更年期で、その期間は閉経に向かって女性ホルモンの量が減ることによって、身体や心にさまざまな変化が起こります。ですから、閉経後や、閉経に向けて月経が乱れている中でいろいろな症状が出てきた場合には、まずは更年期を疑っていいかもしれません。
ただし、素人判断は禁物です。というのも閉経への向かい方はさまざまで、だんだん周期が長くなる人もいれば、短い周期でちょこちょこ出血が来る人、半年もの間、月経がなかったのに突然再開する人など、パターンもいろいろ。女性の身体は複雑で、更年期に限らず、体調によって月経が乱れたり、一時的に止まることもあるので、月経はあくまで閉経時期や更年期を知る一つの目安と考えてください。確実なのは、医療機関でのホルモン検査です。現状をチェックし、半年後あるいは1年後にもう一度検査してホルモン量の変化を見ます。その結果から「今が更年期の真っただ中ですね」とか、「そろそろ閉経ですね」、あるいは「まだ2年ぐらいは閉経しませんよ」などと推測できるので、更年期と思い込んでトラブルを招くより、きちんと検査して閉経に備えるほうが安心ですよね。

更年期が気になったら「まず婦人科へ」は間違い!

不調が気になって受診する場合、“更年期の年齢なら婦人科へ”と思われがちですが、場合によっては病気を見逃すことにもなりかねません。めまいなら耳鼻科、頭痛なら脳外科、うつ気分なら精神科と、まずは症状に合った診療科を受診し、別の病気でないか確認することが先決です。そこで病気がなければ婦人科で更年期かどうかを確認し、治療という流れが理想です。ただし、ホルモン検査で更年期と診断できても、心身不調の原因が対人関係のトラブルやゆとりのないライフスタイルなど、心当たりがあるものがあれば心療内科の受診が必要となります。
更年期の症状の中で、特に気を付けていただきたいのが精神症状ですが、不安感が強い、急に外出が億劫になる、意欲がわかない、ちょっとしたことにもイライラする。このような症状が強く、日常生活さえもつらく感じ始めたら、精神障害の可能性があります。身体の症状も同じで、頻繁に症状が起こったり、1日中症状が気になってしまうような状況は別の病気の可能性が考えられるからです。

更年期は一時的なことだと思って「もうちょっと我慢すれば大丈夫」とがんばってしまう気持ちは分かります。人にはもともと治癒力があるので、ホルモンの変化に慣れる能力(自律神経を安定させる力)がある人は、少しぐらい症状があっても自然に治ることもあります。でもそれができない人は、先延ばしにしている間に自律神経の働きがどんどん悪くなり、何十年も症状を引きずってしまうケースも少なくありません。自分がどちらのタイプか分かれば楽なのですが、残念ながら誰にも分からないのが現実。だからこそ、放置しないで医師に相談することが重要なのです。

更年期は、女性の身体にとって大きなターニングポイントの一つ。向き合い方次第で、その後の過ごし方も変わってきます。女性の2人に1人は何事もなく平穏に更年期を乗り切り、もう1人は何らかの症状を感じますが、受診が必要なのはその内の3割程度なので過度に恐れる必要はありません。不調や症状が現れたら、早い段階でその症状にあった診療科をまずは受診するようにしましょう。

【ホルモンバランスを整える】

ルナフェミン

関連記事
・ゼロから学ぶ更年期の基礎知識〜第2弾〜 更年期の症状はどうして起こるの?不調を起こす3大要因
・ゼロから学ぶ更年期の基礎知識~第3弾~ ガマンしなくて大丈夫!更年期を乗り切るための治療と対策

記事一覧を見る

合わせて読みたい記事

記事一覧を見る
  • この他にもお得なことがいっぱい!!
  • 新規会員登録する

contents_title

  • 目からウロコ!目の健康ガイド
  • キレイな素肌の秘密 スキンケア研究所
  • 毎日を笑顔で元気に 健康美容ナビ
  • ものづくりの裏側 商品開発ストーリー
  • 教えて、聞いて みんなの声