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認知症予防で話題!シークワーサーに含まれる“ノビレチン”とは?

ご存じのとおり、日本は世界の中でも一、二を争う長寿の国。特に沖縄は、高齢者が元気なことで知られていますよね。その理由を解明しようと、1990年代から沖縄に住む高齢者の食生活や生活習慣の研究が進められており、近年“シークワーサー”が注目されはじめました。爽やかな酸味が人気のフルーツ、シークワーサーに豊富に含まれる“ノビレチン”という成分に、様々な効果があることがわかってきたのです。抗肥満や抗ガン、抗アレルギー、抗動脈硬化など、報告されている効果は多岐にわたりますが、特に注目されているのが“脳”に関わる分野。ノビレチンの認知症予防効果に期待が集まっています。今回は、この話題の成分、ノビレチンの研究を続けるロート製薬の開発スタッフに話を聞きました。

ロートネーム:きむきむさん

語ってくれたのは、

研究開発スタッフ
ロートネーム:きむきむさん

廃棄していた搾りかすの中に、話題の成分を発見

ロート製薬は数年前からノビレチンについて研究を続けていますが、それは「長寿の里」として有名な沖縄県大宜味村(おおぎみそん)がきっかけでした。
2013年から沖縄県で農業・畜産業を展開しているロート製薬は、地域の活性化に取り組む一環として、大宜味村のシークワーサージュース工場の管理を担当しています。
その最盛期、9月のこと。ジュース作りを手伝おうと訪れた工場で、果汁を搾った後の大量の搾りかすを目にしました。聞くと、年間50トン以上の搾りかすが廃棄されているというのです。果汁を取った残りだとはいえ、そのまま捨てるのはもったいない。何とか有効利用できないかと調べてみると、シークワーサーの皮には、ノビレチンという健康成分が多く含まれること、特に脳への効果が世界的に注目を集めていることがわかりました。しかも、大宜味村産のシークワーサーは、他の地域の果実と比較してもノビレチン含有量が多いこともわかったんです。

シークワサー写真

認知症は治療薬がまだない病気の1つ。世界でも抜きん出て超高齢社会の日本では、認知症予防は重要な社会課題です。そんな中、最近の研究では、認知症予防には柑橘類が効果的と報告されることも多く、ノビレチンの脳への効果は期待されるばかり。高齢者が元気な沖縄の食材が、人生100年時代を元気に生き抜く助けとなるよう、ロート製薬はノビレチン研究を進めることとなりました。

世界中で注目を集める、ノビレチンの働き

柑橘類の中でも、特にシークワーサーに多く含まれるノビレチンは、フラボノイドの仲間です。フラボノイドとは、カテキンやイソフラボンなどで知られるポリフェノールの一種で、植物が紫外線や外敵などの厳しい環境から身を守るために生まれたと言われる苦みや色の成分。種類によって特徴は異なりますが、多くは高い抗酸化作用を持っています。ノビレチンも、その高い抗酸化作用による様々な働きが報告されていますが、特に注目されているのが「脳」の健康、中でも認知症予防効果が話題となっています。

神経細胞のネットワーク作りを助けるノビレチン

脳は、多くの神経細胞がつながって“ネットワーク”を作り、信号を伝達しあうことで、記憶や判断、注意などの機能が働いています。ところが、年齢を重ねるほどこのネットワークができにくくなり、その結果、だんだん脳の機能が低下してしまいます。たとえば「あの芸能人の名前、なんだっけな?」「昨日の夕食は、何を食べたんだったかな?」ということはありませんか?これは、脳のネットワークが衰えてきたサインの1つです。 このネットワークは、神経細胞が“手”のような突起を伸ばし、他の神経細胞とつながることで形成されています。つまり、この突起を伸ばして神経細胞同士のネットワークを形成させることが、脳の機能維持には大切なのです。

神経細胞のネットワーク作りを助けるノビレチンのイメージ

ノビレチンの効果を調べたところ、神経細胞の突起を伸ばす(=神経細胞の活性化)作用があることがわかりました。さらに、脳の健康にいいと言われる「DHA」や「イチョウ葉」と比べても、少ない量で高い効果を発揮することを発見しました。(ロート調べ)

[ノビレチンによる神経細胞の活性化の様子]

ノビレチンによる神経細胞の活性化の様子を示す顕微鏡写真

[DHAやイチョウ葉以上の伸長活性]

DHAやイチョウ葉以上の伸長活性を示すグラフ

※ノビレチンを添加して培養した神経細胞(PC12細胞)の顕微鏡写真。何も加えていない状態(左:対照群)に比べて、ノビレチンを加えた群(右:ノビレチン)では、神経細胞が活性化され、“手”(白矢印:突起)を伸ばすことが認められました。

ノビレチンの働きを高めるヒントが、長寿の食生活の中に

ノビレチンの脳への高い効果はわかりましたが、その良さをさらに活かすにはどうすればいいのか。独自に研究を続けていたところ、大宜味村の高齢者の方たちの生活から、すごい発見がありました。
大宜味村は、沖縄の生産量の約6割を占めるシークワーサーの特産地。そして、1993年に自ら「長寿の村 日本一」を宣言した村でもあります。もちろん長寿は立派なことですが、なにより素晴らしいのは、大宜味村の“おじぃ・おばぁ”は表情がいきいきと明るく、元気で活動的なこと。アメリカや日本全体と比べて、沖縄県の認知症の患者数は半数しかいないというデータ*もあるように、歳を重ねても現役で活躍する大宜味村の高齢者の皆さんは、ただの長寿ではなく“健康長寿”なのです。

* J. Am. Geriatr Soc 1999;47:189-95. Mayo Clin Proc 1996;71:275-82. Internatl J Epidemiol 1995; 24:373-80.

そんな大宜味村の方たちにとって、シークワーサーは身近な食材で、毎日の食生活に深く根付いています。泡盛や炭酸に入れて飲むのはもちろん、焼き魚やお刺身にシークワーサーを絞って食べることも多いのだそうです。

沖縄の高齢者に認知症が少ないのは、食生活にカギがあるかもしれない。そう考えた時、シークワーサーを搾って食べる魚がヒントに浮かびました。そこで、ノビレチンと魚に多く含まれる「DHA」を一緒に配合して試験してみると、神経細胞がより活性化されることを新たに発見しました。古くから続いてきたその土地ならではの知恵が、健康長寿を作っているんだと改めて実感しました。

ノビレチンと魚に多く含まれる「DHA」を一緒に配合して試験してみると、神経細胞がより活性化されることを新たに発見しました。

ノビレチンは、年齢が気になり始める50代以上の方や、「あれ?なんだっけな?」と感じることが増えてきた人にぜひ知っていただきたい成分です。脳への相乗効果が期待されるノビレチンとDHAの組合せを、より多くの大人の方におすすめできるよう製品化にも成功しましたが、私たちのチャレンジは終わりません。このノビレチンですが、抗アレルギー効果を活かして花粉症やアレルギー性鼻炎への応用が期待されているほか、メラニンの色素蓄積を押さえる効果ではシミ対策にも有用という研究報告もあるからです。健康に、美容にと幅広い効果が期待できるノビレチンについて、私たちはさらなる研究を続けてまいります。

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