背中のハミ肉の原因は、毎日している“あの動作”?!

年齢と共に気になり始めるのが、背中のぜい肉。鏡で確認しにくい事もあり、ふと気づいた時には、たるんでいた・・・という経験はありませんか?FTPピラティス教育ディレクターの石川沙樹先生によると、40〜50代女性の場合、ぜい肉がつきやすいのは「ワキの後ろ」「上背部」「ウエストのサイドから後ろ」の3ヵ所だそう。まさに背中です。これは長年の日常的に行ってきた動作の積み重ねから引き起こされる、猫背の姿勢の影響もかなり大きいようです。今回は「なぜ背中にぜい肉がついてしまうのか」その原因と、すっきり若々しい背中を手に入れるためのストレッチをご紹介します。秘密は、しなやかな関節と背中の動きにありました。
教えてくれたのは
FTPピラティス教育ディレクター:石川沙樹先生
スマートキャンプ東京をはじめ都内スタジオでレッスンを行う他、海外トレーナーが行う研修の通訳や、インストラクター養成、国内のイベントやワークショップの講師、海外でのトレードショーなどのプレゼンターも務める。鍼灸師(国家資格)としても活躍中。

ぜい肉の原因“猫背”は日々つくられる
長時間のパソコン作業、スマホを見る、食事をする、食器を洗うなど日常生活で行う多くの動作は、腕を体の前に出して行ないます。実は、これが背中のぜい肉に大きく影響しているのです。
この姿勢は、頭が前方に下がり、肩が丸く内巻きになりやすいので、いわゆる猫背の姿勢になってしまいがち。ずっと猫背の状態が続くと、肩の前側や胸の筋肉は縮んだままで、次第に硬く短くなり、肩関節や背骨の胸椎部分、肩甲骨が動きにくくなっていきます。さらに腕を後ろへ動かしたり、左右の肩甲骨を寄せたりという運動をしないままでいると、背中側の筋肉は伸びきったまま、周辺が硬くなってしまいます。
筋肉は、筋収縮により血流をよくし脂肪の代謝を促進します。ということは、筋肉が硬くなり収縮できなければ、脂肪も代謝されません。つまり日常生活の多くの動作が猫背の原因となり、猫背が背中の筋肉を硬くし、脂肪をどんどん溜め込んでしまうのです。
固まった筋肉を動かすことから始めよう
猫背になると、背骨つまり胸椎の可動性が低くなります。背中が丸く固まってしまい、反らせる動きができなくなるのです。背骨を伸ばし反らせる働きのある筋肉、脊柱起立筋も本来の動きをできなくなり、肩甲骨も背骨も動かしにくくなってしまいます。
背中の脂肪を燃焼させるには、まずは筋肉が動きやすくなるように、関節をしっかり動かすことが大切です。その際、ポイントとなるのが肩関節と胸椎、肩甲骨の3つなのです。
1. 肩のインナーマッスルを安定させる
腕(上腕骨)は肩関節で「前」「後ろ」「外ねじり」「内ねじり」「内に開く」「横に閉じる」の6つの方向に動きます。特に大切なのは、腕をねじるときに使われる回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)という筋肉。「肩のインナーマッスル」とも呼ばれます。回旋筋腱板は上腕骨を安定させる筋肉です。胸をしっかり開き肩を力まず下げた、正しい肩の状態で上腕骨が下に落ちないように安定させているのが回旋筋腱板なのです。

例えば、野球選手が「肩を壊す」という時、たいていは回旋筋腱板のトラブル。アウターマッスルに力が入り、無理に回旋筋腱板を引っ張ったために傷めてしまうのです。四十肩に悩む女性も、ほぼ同じ要因。肩関節の動きをよくするにはインナーマッスルを意識して鍛えることが大切です。
2. 肩甲骨は“下げて寄せる”より“平たく維持”
肩甲骨も「上がる」「下がる」「開く」「閉じる」「上方に回旋」「下方に回旋」と6つの方向に動きます。肩甲骨は「下げたり寄せたりするといい」とよくいいますが、本来は“平たく”肋骨にはりついている状態が正しい位置です。
肩甲骨は色々な方向に動く骨なので、日常生活で様々な動作を行うのはよいのですが、バッグを持つ手が片側ばかりだったり、ずっとキーボードに手を置いたままだったりすると、肩甲骨の位置が上がって首の周りに力が入り、首や肩のコリの原因になってしまいます。何かの動作する度に、体の前側は鎖骨を横に広げる感じで胸を開き、体の後ろ側は肩甲骨を平たく保った状態に戻すよう心掛けると、全身の筋肉がバランス良く協力するので、無駄がなく、効率良く、そして楽に動けるようになります。
また高い位置の物を取るときに、肩から腕をぐっと持ち上げることがありますね。これは首の周りに力が入って筋肉が縮み、首こりや肩こりの原因になってしまいます。癖になっている方は“肩は上げずにスッと腕だけ伸ばしてとる”と意識してみてください。
3. “胸椎”を動かすなら、胸全体を動かす
いわゆる背骨にあたる部分、胸椎はなかなか動かしにくいという特徴があります。12個連なる胸椎は、まず体の後ろ側で肋骨につながります。肋骨は身体の前側で胸骨につながり、その胸骨は鎖骨につながり、さらに鎖骨が肩甲骨につながります。つまり胸の骨格は胸椎、肋骨、胸骨、鎖骨、肩甲骨と一体となっているので、胸椎だけを動かそうと思ってもそう簡単には動きません。そのため胸全体を使ったストレッチがポイントになります。

一瞬で、背中をスッキリさせるには
背中のぜい肉を落とすには、肩関節、肩甲骨、胸椎まわりの筋肉をバランス良く習慣的に鍛えていくことが理想です。とはいえ1日も早く美しい背中を手に入れたいですよね。それなら単純ですが、姿勢をよくすること。胸の位置を高くして、顎をひき、頭を天井から引っ張られるイメージで首をスッと伸ばす。この姿勢を意識するだけで背中はスッキリ美しく見えます。
よい姿勢を保つには、自動的に必要な筋肉が使われているので、トレーニング効果もあります。では、続いて固まって動きにくくなった肩関節、肩甲骨、胸椎の動きを取り戻す5つのアクティブストレッチ(動きながらのストレッチ)をご紹介しましょう。
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