知らないと損!?市販薬も医療費控除対象~セルフメディケーション税制~

医療費控除といえば、「年間の医療費が10万円を越えると所得控除が受けられ、税金の一部が戻ってくる」というのが一般的なイメージですよね。一方で、2017年から始まった「セルフメディケーション税制」を利用すれば、ドラッグストアなどで市販されているOTC医薬品が医療費控除の対象となることは、まだまだ知られていないようです。今回は、多くの方にぜひ利用していただきたい「セルフメディケーション税制」についてご紹介します!
「OTC医薬品」って、どんなお薬?

OTC医薬品とは、医師の処方箋がなくても薬店・ドラッグストアなどで購入できる医薬品のことです。OTCは「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、薬局などのカウンター越しに陳列されていることに由来。これまで市販薬や大衆薬と呼ばれていましたが、2007年より国際的な呼称であるOTC医薬品という呼称が使われるようになりました。これに対し、医療用医薬品とは主に医師が処方する医薬品を意味しています。
セルフメディケーション税制とは
医療費控除制度の特例として2017年1月にスタートしたセルフメディケーション税制は、“国民のセルフメディケーションの推進”を目的として創設されました。ちなみにセルフメディケーションとは、世界保健機関(WHO)において「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています。
所得控除の対象になるのは、厚生労働省が定めた特定の成分を含有するOTC医薬品を、1年間(1月~12月)に合計1万2000円以上購入した場合(上限8万8000円)です。なお、セルフメディケーション税制は医療費控除の一部であるため、両方同時に利用することはできません。どちらの条件にもあてはまる場合は、いずれかを選択して確定申告を行いましょう。手続きをすると、医療費控除と同じく、所得税の一部還付や、翌年度の住民税の負担が少し軽くなるなどのメリットがあります。
パッケージやレシートをCHECK!OTC医薬品の見分け方

OTC医薬品のパッケージには、セルフメディケーション税制の対象であることを示す識別マークがついています。一部の製品にはマークがないものもありますが、マークがなくても対象製品であれば制度の対象となります。なお、対象となるOTC医薬の一覧は、厚生労働省のWebサイトでも確認することができます。

なお、セルフメディケーション税制の対象商品を購入した際には、レシート(領収書)に「★」マークなどの文字が印字され、別に領収書をお願いした場合は手書きでその旨が記載されます。確定申告をするためにはレシート(または領収書)が必要になりますので、必ず保管しておきましょう。

・ロート製薬で対象になるOTC医薬品のリストはこちら
セルフメディケーション税制の対象となる人
セルフメディケーション税制を利用するためには、下記3つの条件を満たしていることが条件です。
① 所得税や住民税を納めている
医療費控除の対象は所得税と住民税であるため、これらを納税していることが必須条件です。
② 対象となるOTC医薬品の年間購入額が1万2000円を超えた人
確定申告を行う人だけでなく、扶養家族が購入した分も合算できます。
③ 健康の維持増進や疾病予防のために、一定の取り組みを行っている
1月1日~12月31日までに、所得控除の申請者本人が特定健康診査・予防接種・定期健康診断・健康診査・がん検診のいずれかを受けていることが条件です。検診などにかかった費用は所得控除の対象にはなりませんが、領収書(原本)や結果通知表(コピー可)は確定申告に必要となります。
セルフメディケーション税制を使うと、どのくらい節税ができるの?

医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらで申告するかは、年間にかかった医療費やOTC医薬品の購入額を比較検討して考えてください。では、具体的にセルフメディケーション税制を使って確定申告をすると、どのくらいの節税ができるのか計算してみましょう。
対象となるOTC医薬品の年間(1月~12月)購入額が1万2000円を越えた部分(扶養家族の分を含む、上限金額8万8000円)に申告者の所得税率を掛けた金額が減税されます。
<例>所得税率20%の申告者が年間5万円分のOTC医薬品を購入した場合
●国に納める所得税(国税)分
(50,000円-12,000円) x 20%=7,600円
●翌年度の住民税(地方税)分
(50,000円-12,000円) x 個人住民税率10%=3,800円
⇒所得税と住民税をあわせた1万1400円分が減税されます。
確定申告を行ったあとは、所得税の還付金が指定口座に振り込まれます。一方、住民税は翌年6月以降に納付するために還付されることはありません。医療費控除で軽減された税額を、6月からの住民税の金額で納めることになります。
これからは、自分の健康は自分で守る“セルフメディケーション”の時代!
自分自身で健康管理を行い、軽い傷病の症状緩和にOTC医薬品を用いるセルフメディケーションは、かさむ医療費を抑えるためにもぜひ活用したいところ。セルフメディケーション税制で節税にも取り組みながら、上手にOTC医薬品を使って日々の体調管理を心がけてくださいね。