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気づかぬうちに進行する?!緑内障を防ぐために大切なこと

ロート製薬が行った「目について知りたいことは?」というアンケートによると、20〜40代では視力や疲れ目、ドライアイといった比較的身近なトラブルが多かった一方、50代以降では老眼にくわえて、白内障、緑内障という見え方に関する病気が挙がってきました。白内障や緑内障というと特別な病気のようにも思えますが、眼科の先生によると、どちらも白髪が生えるのと同じ老化現象だそうです。だからといって放っておくことはできません。手術で治せる白内障と違い、緑内障は進行すると元には戻せない、日本人の失明原因1位という恐ろしい病気です。そこで今回は、緑内障の症状から、なりやすい人の特徴、予防法まで専門医に詳しく教わりました。

中澤 徹先生

教えてくださったのは

東北大学 医学部眼科学教室 主任教授
中澤 徹先生

医学博士。東北大学 医学部卒業。公立刈田綜合病院眼科長、ハーバード大学眼科研究員、東北大学大学院 視覚先端医療学寄付講座准教授などを経て、2011年より現職。緑内障の研究において、多くの賞を受ける。

見えない部分ができ、視野が狭くなる「緑内障」

人は、目で見た色や形などの情報を信号として、視神経を通じて脳に送り、脳がそれを像として認識することで「見えた」と認識しています。緑内障は、その視神経が減る病気です。視神経が減ると、その分の情報が伝わらないので、見えない部分ができて視野が欠けたり、狭くなるのが症状です。
患者さんによると、その見え方は霧の中にいるようで、ものの形や色はなんとか見えるものの、輪郭がはっきりせず、かすんでいるように見えるそうです。
「自分は見えない部分はないし、かすんで見えてもいないので大丈夫」と思うかもしれませんが、そう言い切れないのが緑内障の怖いところ。実は、初期の状態では、見えていないことに気づかないのです。

見えないことに気づけない?!気づくのが遅れる3つの理由

緑内障は進行すると元に戻せず、最悪の場合、失明に至る病気です。実際、日本人が失明する原因の1位が緑内障で、40歳以上の20人にひとりはかかっていると言われています。早めに治療できればよいのですが、「見え方がおかしい」と自覚するまで症状に気づけないのが問題なのです。

気づけない理由は3つあります。
第1は、目が2つあるため。見えていない部分をもう片方の目が補うからです。
次に、脳が見えない部分を補うことが挙げられます。脳は、目から伝わる膨大な情報の中から必要なものを選択し、矛盾がないようにイメージを作り出しています。実は、目が正常な人にも見えていない部分はあって、視野の中心がはっきりしているだけで、周りはぼんやりとしか見えていません。それなのに“はっきり見えている”と感じるのは、脳が自動的に見えていない部分の情報を補っているからなのです。

左目が緑内障の場合の見え方(イメージ)

※普段通りに両目で見ると、子どもが見えていますが、緑内障の症状がある左目だけで見ると、本来いるはずの子どもの姿は見えません。緑内障の初期~中期は、一方の目がカバーしたり、脳が画像を補うことで自然な見え方になり、見えていないことに気づきにくいのです。

3つ目の理由は、症状がゆっくり進行することです。緑内障は急に悪化するものではなく、5~30年もの時間をかけて進むと言われています。
「進行が遅いなら、緑内障であっても寿命を迎えるまで視覚を保てるのでは?」と思うかもしれませんが、平均寿命が伸びている今、100歳まで生きる備えが必要です。緑内障は元に戻せませんが、進行を遅くすることは可能。もし緑内障にかかっているのであれば、少しでも早く気づき、治療を始めることが大切です。

「長身・痩せ型」「完璧主義」「近視」の人はなりやすい?

目は、内側からかかる圧力=眼圧によって形や大きさが一定に保たれていますが、その眼圧が高くなり過ぎると視神経が傷み、緑内障を発症します。このことから、緑内障は眼圧の高い人に起こりやすい病気であることが知られています。
また、緑内障は男女ともに、長身で痩せ型、完ぺき主義の人に多い傾向があります。これには理由があって、そのような人は交感神経が優位になっている状態が長いため、緊張や興奮状態が続き、眼圧が上がりやすいのです。ストレスや興奮状態が続いたときに、食欲を感じなくなるような人は特に気をつけてください。

血流の悪さも視神経に悪影響を及ぼす可能性が…

眼圧が正常でも安心してはいられません。日本人は“眼圧が正常でも発症する緑内障(正常眼圧緑内障)”の割合が世界一多いのです。理由は様々考えられますが、血流の悪さもその1つ。
大事な器官である目には、多くの血液を循環させて、酸素や栄養を届ける必要があります。血液は、心臓から下へは重力によって落ちるように流れますが、首より上に血液を届けるには、高い血圧で押し上げなければなりません。それなのに、十分な血液を送ることができない低血圧は、目の酸素や栄養が不足しやすくなるため、視神経に影響が及び、緑内障を発症する可能性が高くなると言えます。
睡眠時無呼吸症候群の人も、酸素不足で血液の質が悪くなるので、緑内障のリスクが高まります。
さらに、近視の人も要注意。視力がいい人の眼球が丸いのに対して、近視の人の眼球はラグビーボールのように長いので、血管が引き伸ばされ、血流が悪くなっているのです。欧米諸国に比べて圧倒的に近視が多いことが、日本人に正常眼圧緑内障が多い理由の1つだと考えられています。

緑内障は遺伝も関係。“なりやすい”とわかったら検査を!

緑内障は遺伝も一因です。身内に緑内障の人がいる場合、発症率は3~9倍高くなると言われています。家族歴があれば、「自分にも可能性がある」と考えたほうがいいでしょう。
眼圧が高い、交感神経優位になりやすい、低血圧、睡眠時無呼吸症候群、近視、家族歴がある。緑内障になりやすい特徴をいくつか挙げましたが、当てはまることが多いほど要注意。リスクが重なると、発症する可能性は高くなると言えます。自分が“なりやすい”とわかったら目の変化に注意して、定期的な受診や、必要に応じて検査をすることが大切です。
緑内障を診断する検査には、眼圧検査に加えて、目の中を循環して眼圧を維持している液体=房水の排水の状態を調べる隅角検査、視野の欠けを調べる視野検査、CTスキャンのように網膜を立体的に画像化し、視神経の状態を調べる OCT検査などがあります。痛みもなく、かかる時間は個人差があるものの約1時間30分程度と手軽に受けられ、公的健診としている自治体もあるようです。

緑内障にならないために、知っておきたい予防法

“なりやすい人”でなくても安心は禁物。先に述べたように、原因は身近なことにもあるので、緑内障にかかる可能性は誰にでもあるのです。
そのために気をつけたいのは、眼圧を上げないこと。きつく目を閉じたり、目を押さえるだけでも眼圧は上がるので、マッサージ感覚でまぶたを押すのもよくありません。また、首元がきつい服やネクタイなど、首元の締め過ぎも厳禁です。ものを近くで見ることでも眼圧は上がるので、スマートフォンはできるだけ目から離し、使用時間も控えめに。
また、血流をよくすることも大切です。筋肉を鍛えることは、血液を循環させるのに効果的なので、患者さんには「身体の中でも特に大きな太ももの筋肉を鍛えましょう」と指導しています。筋肉量が増えれば血圧を上げやすくなるうえ、新しい血管が作られて血流もよくなります。また運動後はリラックスしやすいので、緊張・興奮状態(交感神経優位)になりやすい人にも効果的です。
ただし、過度の激しい運動はよくありません。活性酸素による酸化ストレスは視神経に悪影響を与えるので、心拍数120程度でじわっと汗をかくぐらいの運動や、軽めのジョギングや早めのウォーキングなどを1時間程度するのが理想的。低血圧の人にはスクワットがオススメです。
リラックスするために、適量のコーヒーや深呼吸、瞑想やヨガもいいですね。ただし、逆立ちのように頭を下にするポーズは眼圧を上げるので避けてください。

人間は、外界からの情報の8割を視覚から得ています。そんな大切な見る機能を、緑内障によって失わないためには、予防と早期発見がカギ。自分では症状に気づくことができないからこそ、定期的に受診することが必要です。できれば、メガネやコンタクトレンズを作るときにもぜひ受診を。処方箋を作る際の検査が早期発見につながります。
また、自分でできる【簡易セルフチェック】を試していただくのもオススメです!

・出典元:太陽笑顔fufufu

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